名劇SSブログ

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フレンズビスケット 第六章:ふたり ※今回から百合表現が入ります。





ご訪問、そして拍手ありがとうございます! 今回から百合表現が含まれますので、ご注意されたし。今回でもう六章目なんですね…パルメちゃんを早く何とかせんと…

それではどうぞ。








  第六章 ふたり


 次の日の早朝、二人はベッドから起き上がると、上着を羽織り、一階にある居間へと向かいます。そして、その部屋のテレビをつけました。
「まだ始まるまで時間あるわね…」と、昭乃は腕時計を確認すると、「コーヒーでもどう?」と涼子に問いかけました。
「そうねえ…、暖かいコーヒーでも飲んで、ゆっくりと待ちましょうか」
 二人はまだ眠そうにしながら、一緒に台所へと向かうと、インスタントのコーヒーを淹れ、居間へと戻りました。
 しかし、二人はその後、そのテレビに映し出された光景に目を疑いました。なんと、ゴルフ中継が始まったのです。
「うそ…」と声を漏らす涼子。
昭乃はテレビのリモコンで番組表を出します。するとそこには、五時半から八時まで、ゴルフ中継の枠が取られていたのでした。
 二人はガッカリと肩を落とすと、そのテレビを消し、部屋へと戻っていきました。
「知らなかったぁ~…と言うより気付かなかったぁ…。先週ので何かお知らせとかしてたっけ?」
 涼子は昭乃に、ガッカリとした表情を見せながら、そう話します。
「う~ん…、なんかあったっけなぁ…」と、昭乃も首を傾げました。
「ねえ昭乃? チャンネル間違えたってことはないよね…」
「それはないわよ、フレビスしか観てないもの…。それに、ちゃんと確認したじゃない…番組表…」
「そうよね…。う~ん…どうしよ…、もう一回寝るにしたって…完全に目が冴えちゃったしなぁ…」
 涼子はコーヒーをひと口飲むと、「はぁ…」と、小さく溜め息を吐きました。
「先週のやつ…観る?」
 昭乃が涼子にそう話すと、涼子は笑顔で頷きました。もう一度居間へ行き、ブルーレイのディスクを再生します。
 やがて本編が終わり、エンディングも流れて次回予告が始まったそのとき、画面の上の方に小さく、「次週はゴルフ中継の為、お休みいたします」と書かれていました。
それを見た二人はガッカリと肩を落とし、二人同時に「書いてあった…」と呟きました。
二人は互いに顔を見合わせると、クスクスと笑い、ダイニングへと向かいます。そして、ソファーに寄り添って座り、ゆっくりとした時間を過ごしました。
「ねえ涼子…」
「うん?」
「昨夜はごめん…」
「…ううん」
 涼子はそれ以上何も言わず、寄り添う昭乃に微笑みます。昭乃は少し恥ずかしそうに微笑むと、涼子の肩に頬を預けました。
 やがて朝食の時間になり、台所へと入ると食事の準備をします。昨夜の残りのシチューに、冷凍庫にぽつんとあったチーズを乗せてオーブンで焼き、簡単なグラタンにしました。それをコーヒーと一緒に朝食にすると、衣装作りの話しをしながら食事を進めました。
「たぶんだけど…、今日中に終わるんじゃないかなぁ…」と、グラタンをもぐもぐとしながら話す涼子。
「そうねえ…、手袋と下に穿くのはまだかかるけど、形だけだったら終わるわね。ところでさ…、衣装って洗濯できるの?」
「うん、私のはできるよ~。普通の服で作ってるからね。ほかの人達のは知らないけど…」
「そうなの? じゃあ私のも大丈夫ね」
「うん。そんなに特別な飾り物とか付けてないし、クリーニングにも出せると思う」
「…出せ…るの?」
「うん。私は出せるよ?」
「そう…」
 昭乃は涼子のあっけらかんとした笑顔を見てキョトンとすると、食事を続けました。
 やがてその食事も終わり、後片付けを済ませると部屋に戻り、衣装作りを始めました。
 ラジオの音が静かに流れる室内に、衣装を製作する作業の音が響いていました。そんなとき、涼子が「ミシンがあれば…」と、呟きました。
「ミシン? あるわよ?」と、昭乃がキョトンとした表情で涼子に話します。
「あるの⁉」
「ええ。確か…部屋のどっかの押し入れにあったと思う…」
「ホント? …あぁでも…使ったことないし…」
「ないの?」と、昭乃はクスクスと微笑みながら言うと、「私使えるから、ちょっと探してくるわね?」と立ち上がりました。
「私も行く~」と、涼子もその後をトコトコとついて行きます。
 二人は家の中を散策するように、各部屋を確かめていきました。昭乃の後ろをついて行く涼子。やがて、一階の隅にある壁収納の奥に、埃まみれになった古いミシンを見つたのでした。
 そのミシンを部屋に持っていくと、早速コンセントに繋げて、動くかどうか確かめてみました。
 そのミシンは始めにゆっくりと動くと、重苦しく「ヴ~」と音を立てて、やがて止まってしまいました。
「あれぇ? 動かないねえ…」と、涼子がそのミシンをじっと見ていると、僅かですが煙が立ったのが見えました。そして、焦げ臭いにおいがしてきたのです。
「やっば!」と、涼子は咄嗟にコンセントから線を抜きます。「ふ~…危ない危ない…」と、ホッとする涼子。昭乃もホッとした表情をすると、「ミシンは使えないわね…」と、少し肩を落としました。
「随分と古いミシンねえ…」と、そのミシンをまじまじと眺める涼子。
「ええ、私が小学校の頃に…、お母さんが使ってたやつなの。お母さんも…お母さんから、つまり、お婆ちゃんから貰ったやつなんだって…言ってたわね」
「じゃあもう…随分と…」
「ええ…。私が中学に上がった頃から忙しくなって…、使ってなかったんだけど…」
「そう…」
「使い方はね、お母さんに教えてもらったの。今でも覚えてる…」
「そうなんだ…、優しいお母さんなんだね…」
「うん、優しかった…」
 昭乃はそう言うと、小さく微笑んで、そのミシンをまた収納に片付けました。
「ねえ涼子、コーヒー淹れる? それとも紅茶が良いかな…」
「う~ん…、紅茶にしよ?」
「うん」
 昭乃は棚から紅茶のティーバッグを取り出すと、お湯を沸かしてお茶の準備をしました。涼子は台所から昭乃の部屋に戻ると、リュックから駄菓子のうまい棒とポテトフライを出して、それを台所に持っていきます。
「ねえねえ昭乃、駄菓子を持ってきたからさ、ちょっと工夫して食べようよ」
「え? いいけど…、どんな工夫をするの?」
「えへへ~。工夫と言っても、オーブンで温めるだけなんだけどね」
 涼子はそう言うと、うまい棒とポテトフライをオーブントースターで温め始めました。
「そういえば…まだシチューって残ってるわよね?」
「ええ、まだまだ沢山あるわよ?」
 昭乃がシチューが入った鍋を覗き込むと、その鍋の中にはまだ、夕ご飯に使っても余るぐらい残っていました。
「このシチューを…どうするの?」
「えへへっ、それは夕ご飯のときのお楽しみっことで」
「はあ…」
 涼子は余ったうまい棒とポテトフライを棚に入れると、オーブンで温めたお菓子を皿に取り出しました。お茶の準備も整い、それを持って部屋へと戻ります。
 そのお菓子と紅茶を楽しみながら、涼子と昭乃は衣装製作の続きを始めました。
「オーブンで温めると違うわね…、凄く美味しく感じるわ?」
 昭乃は、うまい棒を口にしながら涼子に話します。
「でしょう? ざくざくして、香ばしいでしょう? 特にこのチーズ味でやると美味しいの。夕ご飯のときも期待しててね~」
 涼子は昭乃にそう微笑むと、ポテトフライを頬張りながら手を動かしていきます。昭乃はそんな涼子にキョトンとすると、再び手を動かし始めました。
 やがてどれぐらい経ったのか、昭乃が腕時計を確認すると、時間はもう午後の二時を過ぎようとしていました。
「ねえ涼子、もうお昼過ぎちゃってる」
「うそっ? だってラジオの時報鳴らなかったよ?」
 涼子はそのラジオに視線を向けました。昭乃も同じ様に視線を向けます。すると二人はあることに気が付きました。そう、音が鳴っていないのです。
 二人は顔を見合わせると、クスクスと笑い出しました。
「も~…昭乃~? 電池が切れてんじゃん。時計のもそうだけど、ちゃんと交換しなきゃ駄目よ?」
「う~ん…、そうなんだけどねえ…。でも交換したばかりよ?」
「え~? じゃあ何で止まってるの?」
「……あぁ…、懐中電灯の使い古しのやつ…だったからかな…」
 その言葉に、涼子は困った様に微笑むと、「衣装の方、もう少しだから、終わったら散歩のついでに電池買いに行きましょうか」
「ええ、そうね」
 昭乃の作業は手袋の片方を編み終え、もう片方に取り掛かろうとしていました。一方の涼子は、上着の方は終わり、スカートの方もファーをあと少し、縫い付けるだけになっていました。
それもすぐに終わり、涼子は「う~んっ」と伸びをしたところで、昭乃に「今何時?」と問いかけます。
「えっと…、三時ちょっと前…」
「じゃあ丁度良いわね。お出かけできる?」
「ええ」
 二人は上着を着ると、商店街へと出かけていきました。外は日差しが出て暖かく、少し暑いとさえ思う気温でした。
「上着いらなかったねえ」と、空を仰ぎ見る涼子。
 気持ちの良い天気に恵まれた昼下がり、秋も過ぎ、もうすぐ冬になろうかという季節。空を見上げると陽が少し傾いていたものの、真っ青に澄み渡っており、とても気持ちの良い日差しが降り注いでいました。
 昭乃もそんな空を見て、「でも、もう冬なのね…」と、呟くようにして言います。
「そうねえ…、陽が傾くのが早くなったね」
「ええ、風も冷たい」
 二人はどちらともなく手を繋ぎ、歩いていきました。やがて商店街のドラッグストアに着くと。涼子はその店内を物色します。
「ねえ涼子、電池を買うならコンビニか電気屋じゃない?」
 昭乃は涼子の様子をきょとんと眺めながら話しかけます。
「ううん、ドラッグストアの方が安いのよ。それにね、いつもここで買ってるの」
「そうなの?」
「うん。えっと…あった」
 涼子は目当ての電池を見つけると、それをカゴに放り込みました。
「これがねえ、長持ちするんだ~」
「へえ…」
「あとは~…っと…、思い出した…」
「うん?」
 首を傾げる昭乃に、涼子は商品棚のロールパンを見せ、「これ…、掃除しないと」と、困ったような表情を昭乃に向けます。
「あぁ~、忘れてた…。じゃあ帰ってから掃除しましょうか」
「そうね」と、涼子は返事をすると、そのロールパンもカゴに放り込みます。
「買うの?」
「明日の朝にね」
「あぁ…そっか…。じゃあ…お米も買ってく?」
「え~…お米はぁ…そうねえ…へへへ~ん」
 涼子はイタズラっぽく微笑むと、会計を済ませ、そのまま自宅へと向かっていきました。
 そして、家に着くとお店に立っている両親に、「お米分けて?」とお願いしました。
 そんな涼子に春子は、「お米?」とキョトンとします。
「うん、お夕飯にするの」
「まあ…、それじゃあごはん持っていきなさい? まだお釜に残ってるから」
「良いの?」
「良いも何も、お米持っていくよりはいいでしょう?」
「ありがとうお母さん」
 涼子の笑顔に春子は微笑むと、タッパーに充分な量のご飯を詰め、それを涼子に渡しました。
「はい、どうぞ」
「ありがとう!」
「ところで昭乃ちゃん?」
「あ…はい」
「ウチの涼子、お邪魔じゃないかねえ? ご迷惑かけてない?」
 昭乃は「いえそんな」と言うと、涼子がその横で、「もうっ、お母ちゃん」と頬を膨らませました。
「涼子は…その…、ごはんの支度もしてくれるし、とてもありがたい…です…」
「そう? そうなら良いんだけど。もし迷惑をしたんだったらつまみ出していいからね?」
「え…、あはは…」
 春子の言葉に、昭乃が困ったように微笑んでいると、涼子が「もう行こう?」と、昭乃の手を引っ張ってそそくさと歩き出しました。
 昭乃は春子に「それじゃあ…」と頭を下げると、その涼子の隣を歩いていきます。
「もう、お母ちゃんってば…」と、頬を膨らませる涼子。そんな涼子に昭乃は、「心配なのよ」と微笑みました。
「うん…そりゃあそうなんだけどさ、おっちょこちょいはお母ちゃん譲りだってのよ…、もうっ」
「うっふふっ、そうなんだ…、おっちょこちょい…ねえ?」
「むぅ…、なによ~ぉ」
「ううん、なんでもない」
「む~…」
 二人は商店街の中を歩いていき、昭乃の家へと向かいました。そして、その家に着くと早速、掃除を始めたのです。
 居間や台所、廊下、そして昭乃の部屋。それぞれを簡単に掃除をします。しかし、それでもまん丸のゴミ袋が四つできるほどでした。
 昭乃はその光景に小さくため息を吐くと、涼子に「ごめんね?」と申し訳なさそうに微笑みました。
「ううん、いいのよ。いつも一人で掃除してるんでしょう? 凄いよ昭乃。私なんて掃除なんかあまりやらないから…、お母ちゃんに怒られてばっかなんだ~…」
「そうなの? でも…やらない割には…随分と慣れてるようだったけど…」
「そりゃあね、お店の掃除とか手伝ってるから。でも自分の部屋はねえ…」
 涼子は「えへへ~」と、困ったように微笑むとそのゴミ袋を庭へと出しました。
「ここじゃ困っちゃうかな…」と、涼子は昭乃に問いかけます。
「えっと…そうね…、ゴミの日まで倉庫に入れておきましょうか」
 昭乃は倉庫の鍵を開けると、そこにゴミ袋を入れました。
掃除も終わって、ジュースでひと息ついていると、時間はもう夕方の六時近くになっていました。
涼子はその時間を見ると、「ご飯の支度しなきゃ」と、台所へと向かいます。
「こんな時間までかかっちゃって…ごめんね?」と謝る昭乃。涼子は「いいよいいよ」と笑顔を見せます。
「そんなに手間はかからないから。昭乃はシチューを火にかけてくれる?」
「うん」
「私は~…」
 涼子は棚からうまい棒とポテトフライを取り出すと、グラタン皿の底にポテトフライを敷き詰め、そして、家から持ってきたご飯をレンジで温めました。
 そして、そのお皿に温めたご飯とシチューを入れ、その上から砕いたうまい棒を振りかけます。その上にチーズを乗せ、オーブンでこんがりと焼き上げました。
「じゃじゃーん! 涼子ちゃん特製ドリア、完成だよっ♪」
 涼子はそのドリアを昭乃に見せ、満面の笑顔を向けます。昭乃も「美味しそうね~」と微笑むと、「もうお腹ペコペコ」と、困ったように話しました。
「お昼抜きだったもんね~。早く食べよ食べよ♪」
 二人はテーブルにそれを運ぶと、「いただきまーす」と頬張りました。そのドリアの美味しさに二人は声と表情を合わせ、「おいし~い」と、頬に手を当てます。
 その、互いの仕草と表情を見て二人は微笑みあうと、食事を続けました。テーブルで美味しい時間を過ごし、後片付けを済ませると、部屋に戻ります。
「美味しかった~」と笑顔を見せる昭乃。
「ホント? 良かった」と微笑む涼子。
 二人は互いに笑顔を見せ、お風呂の準備をします。
「ねえ涼子、準備しとくから先に入る?」
「昭乃が先でいいよ~」
「そんな、悪いわよ。色々と手伝ってもらってるし、先に入りなよ」
「う~ん…、じゃあ…一緒に入る?」
「バカ」
 昭乃はお風呂の準備を済ませると、部屋に戻りました。
「昨日の残り湯だけど…ごめんね?」
「いいよいいよ、気にしないで? それより衣装の方がもうすぐ出来るから、昭乃が先に入りなよ。私はこれをやっちゃうから」
「ええ。じゃあお先に入らせてもらうわね?」
 昭乃はそういうと、タンスから着替えを出してお風呂場へと向かいました。涼子は昭乃に小さく手を振ると、「よ~し、頑張っちゃいますか~」と、小さくガッツポーズをして、衣装製作に精を出します。
 やがて昭乃がお風呂から上がってくると、衣装はもう縫いあがっていました。
「あとは、サイズが合ってるか見るだけだよ」
 涼子は昭乃にその衣装を見せると、にっこりと微笑みました。
「凄いわねえ涼子、お風呂入っている間に出来ちゃうなんて」
「えへへ~。でも、気を遣ってゆっくり入ってくれてたんでしょう?」
「え? ええ…まあ、うふふっ」
「あっははっ、ありがとう昭乃。それじゃあ私も入っちゃうわね?」
「ええ。ぬるかったら温め直してね? やり方分かる?」
「ううん、知らない」
 昭乃は涼子をお風呂場まで連れていくと、「ここで操作するの」と言い、おいだきの方法を教えると、部屋に戻っていきます。
「やっぱ、昭乃んちのお風呂は広くて良いなぁ~」と、脚を伸ばし「う~んっ」と伸びをすると、天井を見上げました。
「…一階はもう真っ暗だったわね…、いつもこんな風なのかしら…。どうしたら…良いのかなぁ…」
 涼子は呟くようにして言うと、「よしっ」と顔をバシャバシャと流して、湯船から上がりました。
「お風呂ありがとう~」と、部屋に戻ってお礼を言う涼子。
「あったまった?」と、昭乃は涼子に微笑みます。
「あれ? なんでジャージなの?」
「うん、お風呂の掃除しちゃうから。いつもこれでやってるの」
昭乃は涼子に「じゃあお風呂のお掃除しちゃうね?」と言うと、部屋を出ていこうとします。
「あぁ…私も手伝う」と、後について行く涼子。「そんな、パジャマ濡れちゃうよ?」という昭乃の言葉に、「じゃあ…ちょっと待ってて?」と言って部屋に戻りました。
 涼子はパジャマからシャツに着替えると、「じゃあ行きましょう」と昭乃に微笑みます。
「ちょっと涼子…、下…何か穿いてきなさいよぉ…、もうっ」
「いいからいいから、えへへっ」
 シャワーでお風呂場を流し、湯船を洗う二人。昭乃が床をスポンジで流していると、涼子が「これだったら一緒に入って、一緒に掃除した方が早かったね?」と昭乃に話します。
「一緒にって…、そんな…恥ずかしいじゃない…」
「え~…まあそうだけど…。でもさ、こういうのも楽しいんじゃない?」
「う~ん…そうか…な…?」
「うんっ、きっと楽しいよ? フレビスでも、ラビちゃんとシャムちゃんが一緒に温泉に入ってたじゃない?」
「それは…、アニメでしょう? もう…」
「ねえ昭乃?」
「な…なあに?」
「明日は一緒に入ろうね?」
「ええっ? 明日って…、明日も…泊っていくの?」
「うん、ダメ…かなぁ…?」
「…えっと…、明後日は月曜日だから…帰りなさいよ」
「む~ぅ…ってことは…、月曜日じゃなかったらいいんだ?」
「ええっ⁉ そんなこと…。別に…迷惑じゃなければ…いいけど…」
「迷惑じゃないよ? じゃあ来週も泊りに来るね?」
「え…? あぁ…うん…」
 昭乃は少し頬を染めて頷くと、涼子はそんな昭乃に優しく微笑みました。
 やがて掃除も終わり、二人は部屋に戻ってきました。
 涼子は昭乃に、「ちょっと待ってて?」と苦笑いを浮かべながら、着替えを持って部屋の外へと出ようとします。
「ちょっと待って涼子、ここで着替えればいいわよ」と、そんな涼子を引き留める昭乃。
「廊下は寒いよ、向こうを向いてるから、着替えちゃって?」
「うん…、ごめん昭乃」
 涼子は下着を替え、パジャマを着ると「いいよ~」と言って、昭乃に微笑みます。
「もう、だから濡れちゃうって言ったのに…」
「えへへ~。じゃあさ、早速で悪いんだけど、衣装の方を試着してみてよ」
「ええ、いいわよ?」
 昭乃はそのコスプレ衣装を持って、別の部屋に行こうとします。涼子はそれを見て、「ここで着替えなよ~」と、昭乃に話しました。
「えぇ…でも…」
「私もここで着替えたんだしぃ…、それに、具合の悪いところを見ないとね」
「う~…、分かったわよ…」
 昭乃はパジャマを脱ぎ、その衣装に着替え始めます。涼子はそれを見て、「綺麗ねぇ」と、少し悔しそうに呟きました。
「ちょっとぉ…そんなに見ないでよ…。向こう向いててよ…もうっ」
「だってえ、見てないと分かんないじゃん」
 昭乃は、イタズラっぽく微笑む涼子に頬を膨らませると、そそくさと着替えを済ませました。
「どう? 具合が悪いところない?」
「ええ、サイズは良いみたいね。でも…」
「でも?」
「おへそが…」
 昭乃は露になっているお腹に手を当て、恥ずかしそうに微笑みました。
「しょうがないよ、そういう衣装なんだもん」
「うぅ…」
「でも…ちょっと寒いかなぁ…それじゃあ…」
「う~ん…、でも…部屋の中だから分からないわね」
「そっか…。来月のイベントは会場が広いからから…きっと寒いわね…。どうしよっか…」
「う~ん…、胸んトコにホッカイロ詰めれば…いけるかも…」
「そっか…、その手もあるわね。じゃあ…スカート裏にも、ホッカイロが入れられるようにポケット作りましょうか」
「うん、そうしてくれるとありがたいかも」
「じゃあ、余ってる布でポケットを作りましょう」
 涼子は部屋に散乱している端切れを集めると、ポケットに出来そうなものを集めました。
「これで良いわね。じゃ~あ…」
 涼子は昭乃にニッコリと微笑むと、「合わせましょうか!」と、待ってましたと言わんばかりに、昭乃にぐっと身を乗り出しました。
「ええっ⁉ 合わせるって…今から⁉」
「うんっ!」
「で…でも…、涼子? 衣装は持ってきてるの?」
 昭乃がそう問いかけるが早いか、衣装を出すのが早いか、涼子はラビちゃんの衣装を昭乃にどうだと言わんばかりに見せると、「へへ~ん」と微笑みました。
「持ってきてたかぁ…」と、呆れる昭乃。
 そんな昭乃をよそに、着替えを始める涼子。やがて着替え終わり、「よしっ」と衣装を整えると「ラビちゃんだよっ」とポーズを決めました。
「さあさあ昭乃も、ぼ~っとしてないで」
「え…えぇ…?」
 昭乃は、仕方なさそうにしながら涼子に向き直ると、「シャ…シャム子…です」と、ガチガチになりながらポーズを取りました。
「う~ん…、初めてだからしょうがないか」
 涼子は昭乃にそう微笑み、「やっぱり似合うわねえ~」と、昭乃のその姿をまじまじと観察しました。
「ちょっと…、そんなに見ないでよ…」
「えへへ…、でもすっごく似合ってる。可愛いよ昭乃」
「え…っ、そ…そうかな…」
「うん。きっと人気出ると思うよ?」
「そう…かなぁ…。でも…それはちょっと困るかも…」
「どうして?」
「どうしてって…、どうしたら良いか分かんないもん…」
「あぁ…、それもそうよね、私も最初はそうだったから…」
「そうなの?」
「うん。だから…誰かを巻き込んでイベントに参加したかったんだ~」
「もう…涼子ってば…」
「えっへへっ。ねえ? ラビちゃんって呼んでみて?」
「ええっ⁉ えっと…その…、ラ…ラビちゃん…?」
「……えへへ~…」
「ちょっ…涼子?」
「シャムちゃんだ~!」
 涼子は昭乃に抱きつくと、「シャムちゃん」と名前を呼び、可愛らしく微笑みました。
「え…っと…涼子…、恥ずかしい…」
「いいじゃん、今は…ラビちゃんとシャムちゃんだよ?」
「…ラビ…ちゃん…」
「シャムちゃ~ん」
 涼子は昭乃をギュッと抱き締めると、その背中を撫でてあげました。
「…ねえ…昭乃…」
「…え?」
「私…お風呂で考たんだ…、ラビちゃんの姿だったら…、こうやって…優しくしてあげられるかもって…」
「涼子…」
「…シャムちゃん…、寂しかったね…」
「…ラビちゃん…」
 昭乃は涼子にそっと微笑むと、身を預けるようにして抱き締めました。すると涼子は、その昭乃の髪にそっとキスをしたのです。
 その行為に自分でも驚いたのか、ハッとした表情をすると「ごめん…」と、呟くようにして謝ります。
「…ううん…、嬉しい…」
「シャム…ちゃん…えへへ…。なんか…同人誌のシチュエーションみたいだね…」
「うん…」
 互いに少し見つめ合うと、身体をそっと離して、恥ずかしそうに微笑みあいました。
「なんか…恥ずかしいねぇ…、あはは」と、照れ笑いを浮かべる涼子。
「そうね…、でも…涼子にこんな包容力があるなんて…知らなかった…」
 昭乃も照れくさそうにそう話すと、涼子は「そうかな…」と頬を染め、「じゃあ、着替えよっか…」と、衣装を脱ぎ始めました。
 昭乃も衣装を脱ぎ、パジャマに着替えると、衣装の仕上げを涼子にお願いしました。
「じゃあ…涼子、あとはお願いね? 私は手袋とか仕上げちゃうから」
「うん。…あぁ…毛糸のパンツを穿いたシャムちゃん…、きっと可愛いわね…」
「…なに考えてんのよバカ…」
「バカはひどいな~。でも、さっきのシャムちゃんも可愛かったわよ?」
「…バカ…」
 こうして、土曜日の夜は更けていきました。その後も作業は続き、涼子と昭乃は、二人だけの休日を過ごしたのでした。





続く

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