名劇SSブログ

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ふしぎな妖精パルメ -魔法のレシピ- 1





はい、お待たせしましたパルメちゃん!長いこと掛かってしまいましたが、今回から毎週のこの時間にアップしていきますので、宜しくお願い致します。一応ですが…「愛の若草物語」の30周年を記念した創作になります(遅刻しましたが…)。

それではどうぞ。







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 ふしぎな妖精パルメ -魔法のレシピ-


※この物語は、「愛の若草物語」と「幸せパスタストーリー」の二次創作です。オリジナル要素が満載ですので、お気軽にお楽しみください。






  第一話 お留守番も、パルメちゃんにおまかせよ!


 南北戦争も終わり、マーチ家では、皆が穏やかな日々を過ごしていました。ジョオがニューヨークへと旅立ってから数か月、秋も暮れ、冬へと季節が変わっていきます。
そんな、冷たい風が町を吹き抜ける中、メグを訪ねて、ブルック先生がマーチ家へとやって来ました。

 呼び鈴を鳴らすと、その家の家政婦さんであるハンナという人が、「あら先生、いらっしゃいませ」と、ブルック先生を出迎えてくれました。
「やあ、どうも」と、ブルック先生は帽子を脱ぎ、ハンナに挨拶をします。
「ハンナ、メグは?」
「ええ、居間においでです。エイミーさんと一緒に、ベスさんのピアノを楽しんでおられますよ」
「そうでしたか。せっかくの楽しみを…済まないことをしました」
 ブルック先生がハンナに申し訳なさそうな表情をすると、ハンナは「いえいえ」と笑顔を見せました。ハンナも、ベスが弾くピアノが大好きだったのです。
「さあどうぞ先生? お荷物を…」と、ハンナがブルック先生に手を伸ばします。先生は紙袋を抱えていたので、ハンナがそれを受け取ろうとしたのです。
「いえ、これはエイミーのお土産でして…」
「まあ、そうだったんですか? ありがとうございます」
「いえいえ」
 ブルック先生はハンナの案内で、居間へと向かいました。その居間ではメグがソファーに座っています。エイミーは床に座りながら、ミルキー・アンを膝に抱っこしていました。皆は瞳を閉じながら、ベスのピアノをじっと静かに楽しんでいました。
「やあどうも…」と、ブルック先生がメグの隣へと腰かけると。メグは静かに頷き、ブルック先生へと微笑みました。
 やがてピアノの演奏が終わり、拍手が巻き起こります。ベスが皆にお辞儀をすると、少し驚いた様子で、「ブルック先生!」と笑顔を見せました。
「やあベス、こんにちは。相変わらず素晴らしい演奏だったよ」
「こんにちは先生。ありがとうございます」
 ベスはブルック先生にカーテシーをすると、可愛らしく微笑みました。
「やあエイミーも、こんにちは」
 ブルック先生は床に座っているエイミーにも挨拶をします。ところが、エイミーは少しムッとしながら、「こんにちは」と、小さく言ったのでした。
 メグはそんなエイミーに、「ちゃんと挨拶しなさい」と、怒ってしまいます。エイミーは仕方なく立ち上がると、カーテシーをして、「ごきげんよう、先生」と、笑顔を向けました。
「あっははは、こんにちは、エイミー」と、ブルック先生も困ったように微笑みます。
「まったく…この子ったら…」と、メグはそんなエイミーに困り顔。
 エイミーはミルキー・アンを抱っこすると、自分の部屋へと行こうとしました。でも、ブルック先生はそんなエイミーを「ちょっと待って?」と呼び止めると、紙袋をエイミーに差し出します。
「これは?」と首を傾げるエイミー。
「これはねえ、クッキーだよ。さっきお店で買ってきたんだ。ベスの分もあるから、二人で分けて食べなさい?」
 エイミーはその紙袋を大喜びで受け取ると、「ありがとうございます、せんせっ♪」と、可愛らしく微笑みました。さっそく、ベスを手招きで呼ぶと、二人でその紙袋の中を覗いてみました。ところが、二人は「まあ…」と顔を見合わせます。そして、エイミーは先生に、「珍しいものを買ってきたんですね?」と問いかけました。
「ええ? そんなに珍しいものは買ってきてないけどな…」と、先生もその紙袋を覗き込んでみました。すると、「あっ⁉」と、すっとんきょうな声を上げて驚いてしまったのです。その紙袋の中にはなんと…、小さな女の子が眠っていたのです。それも…クッキーを食べ散らかして…。
 先生はその女の子をひょいとつまむと、「いつの間に…」と首を傾げます。エイミーは先生に手を差し出すと、「手の平に乗せて?」と言いました。
 先生はその女の子をエイミーの手に乗せてやると、エイミーは、「パルメったら…よく眠ってるわね?」と微笑みました。
「ほらパルメ? 起きなさい?」と、エイミーはパルメに言いますが、パルメは「う~ん…」と寝返りをして、起きる気配が全くありません。
「パルメ起きなさい?」と、ベスも声をかけてみますが、パルメは起きようとしませんでした。
 二人は顔を見合わせると、肩をすくめました。「どうしましょう…」と困り顔の二人。そんな二人にメグは歩み寄っていきました。
「まったくしょうがない…」と、手の平に乗せられたパルメを覗き込むと、自分の手の平の上にひょいと乗せました。
そのパルメに向かって、「こらっ! パルメ! 起きなさい!」と声を上げるメグ。すると、「きゃあっ!」言って、パルメは飛び起きました。
「あれ…メグ? おはよう」
「はい、おはよう…じゃないでしょっ! まったく何やってのよアンタは…っとにもう…」
「えへへ~…ごめんして?」
「まったくもう…どうしてあんなところで眠ってたの?」
「えっとねえ…、つい…こう…、ふらふら~…と…クッキーちゃんの美味しそうないい香りがするな~って思って。そしたらね、袋の中に入ってたのよ。不思議よね~?」
「不思議よね~…って…、もう…困った子ねえ…」
「えへへ~。だってパルメちゃん、おなかペコペコのぺコリンだったんだもん」
 そのパルメという小さな女の子、実は妖精だったのです。これは、そのパルメという妖精の女の子と、メグ達が繰り広げる、愉快で楽しい物語です。








 みんなは居間で、ハンナが用意した紅茶を楽しんでいました。しかし、パルメは少し不機嫌そうにしています。それもそのはず、パルメはさきほど、袋の中でお腹いっぱいにクッキーを食べてしまったため、ハンナが作ったとっても美味しいパウンドケーキが食べられなかったのです。
「む~…」と、頬を膨らませるパルメ。パルメは仕方なく、ピアノの上で横になっているミルキー・アンのお腹のところで、そのふわふわの毛並みを楽しんでいました。
「ところでカール? お仕事はどうしたの?」と、メグが先生に問いかけます。
「うん。さっきローレンスさんに頼まれてね、マーサおば様のところへとお使いに行ってきたのさ」
「まあ…お使い? ごくろうさま」
「いやいや…。それで…その、お父様かお母様は?」
「お父様は軍隊のお仕事で…今は留守にしていますの。お母様は婦人会のお仕事に…」
「そうか…」
「お父様とお母様に何かお話し?」
「ああ…、実は…」
 先生はメグに、マーサおば様から温泉旅行の切符を頂いたと話しました。メグはそれに驚き、「温泉旅行?」と声を上げてしまいます。エイミーもベスも、そんなメグに視線を向けました。
「うん…。お父様も戦争で疲れただろうし、お母様も大変な目に遭われたと…、そしてそれを支えるハンナも…。マーサおば様は僕にそう話されてね、それで、その切符を渡しに、この家にお伺いしたんだよ」
「まあ…そうだったの。うん? お父様お母様と…ハンナ? 三人で行くの?」
「うん、そうだよ? メグはもう充分に大人だし、それに僕と結婚するし…、もう家庭を守れるだろう…って、おば様が」
「まあ…、それじゃあ…私だけでこの子達の面倒を…?」
「そうなるね」
「大丈夫かしら…」
「大丈夫だよメグ。僕も時々ではあるけど様子を見に来るし、それに、ローリーにも頼んでおいたから」
「そうなの? それじゃあ…少しは安心ね?」
「はははっ、大いに安心してくれよ? 僕がついてるんだから」
「そうね。うっふふっ♪」
 やがて時間も過ぎ、夕方になりました。メグは先生から聞いた話を、婦人会の仕事から帰ってきたお母様に話しました。
「まあ…、マーサおば様がそんなことを…?」
「はい、お母様。カールからその切符も預かっています」
 メグがその切符をお母様に渡すと、お母様は驚いた表情でその切符を眺めました。
「でも…、これはお父様とよく相談して決めなくてはね?」
「はい、お母様」
 そして、そのお父様もお仕事から帰り、夕食が始まりました。その夕食の席で、お母様がメグから聞いた話をお父様に話します。
「うむ…そうか…、おば様がそんなことを…」
 お父様はナイフとフォークを置き、その切符を眺めました。そして、小さくため息を吐くと、「せっかく頂いたのだし、行ってみるかい?」と、お母様に微笑んだのです。
「ええ…、私は構わないのだけど…子供達が…」
「なあに、おば様の言う通り、メグに任せておけばいいさ。なあメグ?」
「はい、お父様」
 笑顔で頷くメグに、お母様は心配そうな表情を向けました。
「メグ…、本当に大丈夫? ハンナも居ないのよ?」
「はいお母様、大丈夫です。カールも来てくれるって言うし…、ローリーも来てくれると言うので…。それに、パルメも居ますから、頑張ってみます」
「メグ…。それじゃあ…頼んだわよ?」
「はい、お母様」
「パルメも、メグのことお願いね?」
 パルメは、エイミーに小さく千切ってもらったパンを頬張りながら、「ふぁるえひゃんいわかへあひゃいあ(パルメちゃんに任せなさいな)」と、胸を張ります。
「まあまあ、パルメったら」と微笑むお母様。こうして、お父様は休暇を貰い、お母様とハンナと三人で、早朝から温泉旅行へと出かけて行ったのでした。

 その日のお昼前、先生はメグ達を馬車に乗せると、その駅から皆を家まで送り届けようとしていました。そんな中、エイミーがメグに、「ねえねえ」と問いかけます。
「うん? なあに?」
「お昼はどうするの?」
「そうねえ、ハンナがスープを作っておいてくれたから、それを温め直して食べましょうか?」
「え~? スープだけ~?」
「わがまま言わないの…」
「だってぇ…」
 頬をぷっくりと膨らませるエイミーを見かねて、先生は「そこの食堂で食べようか?」と、メグに話します。
「ええ⁉ いいの⁉」と喜ぶエイミーに対し、メグは「駄目よ」と、ツンとした表情で言いました。
「えぇぇ…」と落ち込むエイミー。同じく、「えぇぇ…」と、パルメもその膝の上で落ち込みました。
「え~じゃないのっ。まったくもう…、二人とも? パンとスープがあるだけ充分じゃない」
 その言葉にしょんぼりとするエイミー。しかし、すぐに表情を明るくし、メグに話します。
「だってえ…そうだ、ねえメグ? ローリーのおうちへ行けば何か食べさせてくれるかもしれないわ?」
「こらっ、なんてこと言うのアンタは。まったくもう…いやらしいわよエイミー?」
「えぇぇ~」
 足をぶらぶらさせて口を尖らせるエイミー。メグも呆れた様子でエイミーを見ていました。そんな二人を見て、先生は「まあまあ」と困った様に微笑むと、馬車をゆっくりと歩かせました。
 やがて家に着くと、先生はメグに「仕事が終わったら様子を見に来るからね?」と言って、仕事へと向かいました。その様子を居間の窓から覗き見るエイミーとベス。そしてパルメ。三人は互いに顔を見合わせると、ソファーへと腰を下ろしました。
「ねえエイミー、私達で出来るだけ、メグを支えなくては駄目よ?」と、ベスはエイミーにそう言って聞かせます。
「そうねぇ…、でも…どうやって? お料理は無理よ?」
「う~ん…、お洗濯を手伝うとか…」
「こんな寒いのに?」
「お掃除を手伝うとか?」
「高いところは無理よ」
「お買い物を手伝うとか…」
「お菓子を買っていいなら行くわよ?」
「あんたねえ…」
 ベスがエイミーの態度に呆れていると、「何を話してるの?」と、メグが居間へと入ってきました。
「ううん、なんでもないの」とベスは首を振り、「エイミーとどうやってメグを手伝おうかって、話してたの」と微笑みます。
「ありがとう二人とも。でも…心配しなくてもいいのよ?」と微笑むメグ。エイミーはそれを見て、ベスに「ほらね?」とイタズラっぽく微笑みます。
「うん? ほらねって?」と、メグはエイミーに視線を向けました。
「ううん、なんでもないのよ? それよりメグ~、おなかすいた~」
「はいはい、いまスープを温めてあげますからね?」
 メグが台所へと向かうと、その後をパルメもついて行きました。
「えっとぉ…、スープと…パンと…、それから…干したお魚と…」
 メグが食材を見ていると、その横でパルメが「それだけだとテーブルが寂しいわね?」と、呟きました。
「そんなこと言ったって…仕方ないじゃないの」
「でも…、お父様とお母様、それにハンナが帰ってくるのは一ヶ月も先よ? それだけで大丈夫?」
「う~ん…大丈夫ではないわねえ…、お買い物には行かないと…。でも…」
「でも?」
「ハンナみたいにうまくできるかしら…」
「そうねえ…。でもメグは料理できるじゃない?」
「ハンナとお母様に教えてもらいながらね? どうしましょう…、任せて~なんて言っておきながら…、自分でも不安になっちゃう…」
「う~ん…じゃあ…、私がなんとかしましょうか?」
「できるの?」
「できますとも~。そのかわりぃ…、クッキー作ってよね?」
「はいはい、仰せのままに。でも本当にいいの?」
「ええ、かまわないわよ? 美味しい料理は人々に幸せを運んで、そしてそれが魔法になるの。おばあちゃんが言ってた」
「そうなの~、素敵な言葉ね?」
「でしょう? 私この言葉が大好き♪ それじゃあメグ? スープはあるのよね?」
「ええ。それから少しの材料…」
「そっかぁ…干した魚かぁ。貝とかはある? スープに入れたらきっとおいしいわよ?」
「貝? そんなもの無いわよ~。でも…チキンだったらあるわよ? 干したやつだけど…」
「チキンかぁ…。それだったら…そうねえ…、よっしゃ! いっちょやりますか!」
 パルメは小さくガッツポーズをすると、ステッキを出しました。
「ねえメグ? 目を閉じて?」
「ええ? 何をするの?」
「お料理を教えてもらいに行くのよ」
「ええっ⁉」
「さあ! いっくわよ! それ~♪ パルメ・パラリン・パラパラリ~ン♪」
 パルメがそう呪文を唱えると、メグの体が光に包まれ、やがてその場から消えてしまいました。そして、その瞬間、メグはどこかへとふわっと降り立ったのです。

 さあ、メグとパルメはいったいどこへと向かったのでしょうか? 次回へと続きます。






 メグはパルメと一緒に、どこか見慣れた風景が広がる場所へとやって来ました。戸惑うメグをよそに、パルメはワクワクしながらその町を見渡しています。そんなとき、そこでメグはひとりの少女と出会います。

 次回、「チキンのミルクシチューで、よかった!」

 次回もパルメちゃんと一緒に、パルメ・パラリン・パラパラリ~ン♪

 ふしぎな妖精パルメ

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