名劇SSブログ

世界名作劇場の二次創作SS(ショートストーリー)ブログです。※画像等の二次利用・無断転載はお断りしております。現在は「けものフレンズ」が中心となってしまいました。名劇関連は休憩中です(小説に出来そうなネタが無いです……スイマセン……)

美沙子のメシ:5




早いものでもう……五週目ですか、本当に早いですねえ……。ご訪問、そして拍手ありがとうございます。

それでは、どうぞ。






  五杯目 片手鍋ごはん


 その日の終業五分前。私の仕事はもう既に終わっていたので、後は帰るだけとなっていた。パソコンの前で、あ~暇だ暇だと時間を持て余しながら過ごしていると、後輩の姫子が「あの~……」と話しかけてきた。
 なんですか? 仕事なら手伝いませんよ。せっかく残業無しで終われるのに……と思いつつ「なあに?」と返事をする。
「えっと……先輩、終わったら買い物に付き合ってくれませんか?」
 あぁ買い物ね。なら良し。
「ええいいけど……何を買いに行くの?」
「バレンタインのチョコです。彼氏に上げようと思ってるんですけど……中々決まらなくて」
 ああそう、バレンタインね、そういえばそんな時期ですな。まあ……私には関係ないんですけども。
「バレンタインのチョコねえ……分かったわ。それじゃあ、終わったら一緒に買いに行きましょうか」
「やった、ありがとうございます先輩!」
 そんなこんなで終業時刻。パソコンの電源を落とし、私達は事務所を後にした。
 しかし……チョコレートを買いに行くにしてもこの辺にそれらしいお店なんかあったっけな……。
「ねえ河合さん、どこにチョコレートを買いに行くの?」
「う~ん……この前アオンに行って色々と選んでたんですけど~……決まらなくって~……」
 アオンというのは、全国に広がるショッピング施設で、映画館も備えるという巨大総合施設である。私は人混みが嫌いなので行ったことないんだけども……。
「アオンか~……。アオンで決まらなきゃどこに行っても決まらないんじゃない?」
「そうなんですけど~、それを先輩に聞こうと思って……」
「な……なんでよ」
「だって先輩、色々と詳しそうじゃないですか~」
 詳しそうって……別に詳しいわけでもないんだけど……。この子ったらどんな目で私を見てるのかしら?
「そんなに詳しくないわよ? アオンなんて滅多に行かないし……」
「え~? そうなんですか~? でも先輩、一人暮らしですし、お弁当もいつも手作りで、お料理も上手なんですよね? だからきっと、お菓子のこととかも色々と詳しいのかなって思って」
 あ~……そういうことね、あははは。
「う~ん~……お菓子はそんなに詳しくはないけど、そうねえ……そうだ、私の家の近所にケーキ屋さんがあるから、時間さえ大丈夫ならちょっと見てく?」
「ケーキ屋さん? 家の近くにケーキ屋さんがあるなんて……なんて素晴らしい立地なんですか⁉ 引っ越してきていいですか⁉」
「えぇぇ……」
 ケーキ屋のために引っ越しですか……。でも、分かる気がする。
 そのケーキ屋に行くと、もう閉店の時間ギリギリだった。ざっと店内を見渡し、何かめぼしいものはないかと商品を確かめていく。
 あら、このケーキ美味しそう……。私が欲しくなってきちゃった。河合さんは?
「きゃー! 可愛いケーキ! ねえ先輩そう思いません? 買っちゃおうかしら?」
 おいおい……彼氏にプレゼントするんじゃないのかい……。
「河合さん……彼へのバレンタインは?」
「あー! そうだった……どうしよう、決められないよ~」
 河合さんが可愛らしく困っていると、女性の店員さんが河合さんに、「バレンタインのプレゼントをお探しで?」と問いかけてきた。
「ええそうなんです~。ぜんぜん決まらなくて~……何かおすすめってありますか?」
「そうですねえ……こちらのショコラムースなんていかがでしょう。甘さを抑えたビターなムースに、中にはラズベリーのソースが入ってて男性にも人気なんですよ」
「じゃあそれを下さい。それから、そこのシュークリームをふたつ。ひとつは別の袋に入れて下さい」
「かしこまりました。ありがとうございます」
 店員さんは穏やかな微笑みを向けると、商品を取り出して丁寧にそれを包んだ。
 店から出ると、河合さんは私に「ありがとうございます」と微笑み、シュークリームを渡してくれた。
「手伝っていただいたお礼です」
「え? あ……ありがとう」
 河合さんは私に微笑むと、駅へと向かい歩き出した。さて、私も帰るとしますか。
 頂いたシュークリームを冷蔵庫へと入れると、その中を覗きながら夕ご飯のメニューを考える。
 豚バラ肉に……レタスが少々。あとは卵に……、う~ん……これじゃあ豚バラエッグを作るしかないじゃないの。
 豚バラエッグとは、ベーコンの代わりに豚バラを使ったもの。こってり濃厚な目玉焼きが楽しめる。朝食には重いけどお昼ごはんや夕食には最適な料理だ。
 さてと、それはさておき、ほかには何があったかな……。
 食器やら鍋やらが入っている棚を漁り、出てきたのは缶詰のコーンとシーチキン。う~ん……よし、腹は決まった。お鍋でごはんを炊こう、これと一緒に。
 私はお米を研いで片手鍋に入れると、ぬるま湯を入れてコンロへと置いた。お米が充分に水分を吸うまで時間がある。それまでにお風呂を済ませよう。


 お風呂を済ませて……っと。どれどれ、お米の方は……うん、上出来。この鍋に、水を切った缶詰のコーンを入れて、それからシーチキンも中の油と一緒に鍋に入れる。そして麺つゆでほんのりと味付け。ティースプーンで……どうしよ、二杯ぐらいかな? それをガスコンロで炊きます。レタスは手で千切って、サラダボウルに入れて~っと。次に、豚バラ肉をざっくりと適当な大きさに切ったら、カリカリになるまで炒めて、レタスの上に乗せます。そんでもって、これが肝心。フライパンに残った油でドレッシングを作ります。
 お酢と胡椒、お塩を少々入れて、まずは味見。う~ん……もうちょいかな。お塩をもうちょっと入れて、アクセントにお砂糖をほんの少し入れたら、よ~く混ぜて、仕上げに粒マスタードを入れて……ドレッシングの出来上がり~。
 これをサラダにかけたら、よく混ぜます。これでサラダの出来上がりっと……あとはご飯ね。
 お鍋がぐつぐつと良い音を出してきたよ~。もう我慢できない……腹ペコ限界なので、サラダだけ先に頂いちゃいます!
「いただきま~す」
 あむっ……もしゃもしゃ……。うん! 美味しい! やっぱり私は、サラダにお肉が乗ってないと生きていけない。ちょっと言い方が悪いかもだけど、葉っぱと根っこだけのサラダはどうにも好かない……。やっぱりお肉がないとね。百歩譲って、カニカマとか……サーモンかな。
 どうせだったらこのサラダに豚バラの油で炒めたオニオンリングとか、カッテージチーズやパルメザンチーズを入れても良さそうね。
 なんて考えながら食べてたら、あっという間に無くなってしまいましたよ。なんということでしょう、サラダボウルの劇的ビフォアー・アフター。サラダをお腹に入れたことで、ごはんのお迎えもバッチリです。
 そんなこんなで、お米も炊けたようです。蒸らすので……まだちょっとかかる。その間にサラダボウルでも洗いますか。
 んで、蒸らし終わって、いざ、実食! う~ん……香ばしい。おこげも綺麗に出来てるわね。やっぱお鍋ごはんはこうでないとね。ちょっとお行儀が悪いけど、お鍋のまま頂いちゃいますか……誰も居ないし。
 スプーンですくって……いただきます。はむ……もぐもぐ……カリカリ……。おこげが美味しい! コーンもプチプチと弾けて、シーチキンとも凄く合うわね! 麺つゆもほんのりと顔を出して、良い仕事してます。バターで炊いても良かったかしら? 改良の余地が色々とあるわね……。メモをしといて、次に作るときの参考にしましょう。
 それにしても……まだまだ寒いわね。スープも作ればよかったかしら? まあ……食べ終わってからじゃあ後の祭りよね。
 さて、後片付けをさっさと終わらせてしまいましょう。それから……そうね、コーヒー牛乳でも飲みながら、イラストを描こうかしらね。
 今日も、おいしいごはんを、ごちそうさま。






 次回「美沙子のメシ」は、ベーコンカツ丼です。お楽しみに。

 美沙子のメシ

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