名劇SSブログ

世界名作劇場の二次創作SS(ショートストーリー)ブログです。※画像等の二次利用・無断転載はお断りしております。現在は「けものフレンズ」が中心となってしまいました。名劇関連は休憩中です(小説に出来そうなネタが無いです……スイマセン……)

美沙子のメシ:8





二週連続で載せ忘れたのか……という……、申し訳ないです……。イラスト作業の方に集中しててすっかり忘れてました。なので今日、その二週分と今週の分を一気に載せますので、ご了承下されば幸いに御座います。






  八杯目 おうちで焼き肉・後編


 家に帰り、早速、焼き肉の準備に取りかかる。
「私は焼き肉の準備をするから、まゆちゃんはお風呂の方をお願い」
「は~い」
 焼き肉はゆっくりと食べたいから、お風呂を先に済ませましょう。その後の匂いは気にしない方向で……。自宅でやる焼き肉の特権よね。
 鶏肉はひと口大に切り、塩と胡椒で下味をつけたものと、焼き肉のタレに漬けたものを用意。それぞれを冷蔵庫で寝かせて、今度は牛肉に取りかかる。これもひと口大に切った後、冷蔵庫の中へ。豚肉も同様に準備をし、さて、初体験のラム肉を……どうしましょう。
 取り敢えずこれも切って、塩と胡椒とタレのとで、冷蔵庫に入れておきますか……っと。それからお豆腐。どれどれ、もう水気は切れたかなっと……うん、バッチリね。これは、切らずにそのまま焼いてしまいましょう。後は野菜の準備をして……。
 キャベツはざく切りに、もやしは軽く洗って、ニンジンは皮を剥いて輪切りに。ピーマンは四分の一にカット。これで準備はオッケー、後はお風呂だ~。
 まゆちゃんが先にお風呂を済ませ、私がその次に入る。頭と体を洗って、もうお腹は限界のペコリンです。
 台所のテーブルにホットプレートを用意して、飲み物は……ウーロン茶しかなかった。お酒飲まないから良いんだけど、コーラぐらいは欲しかったわね……。さてと、準備も出来たことだし、「まゆちゃん、ご飯だよ~」と、テレビを詰まらなさそうに見てるまゆちゃんを呼んで、さあ、焼き肉の開始よ!
 寝かせておいたお肉を冷蔵庫から取り出して、水を充分に切ったお豆腐と、お野菜、そして白いごはん。
「しまった……炊いてない」
 私としたことが……早々に出鼻を自分でへし折ってしまった……。どうしよう……いや、へこタレている場合じゃないわ、なんとかしなきゃ。でも……待てよ? ごはんを食べると……お腹が膨れるわね。そうすると、このお肉達が食べられなくなってしまうわ……それはそれで一大事ね……。
「う~ん……」
「どうしたのよお姉ちゃん……早く焼き肉しようよ~」
「それもそうね。じゃあ、先に焼いてしまいましょう」
 お米は食べてる間に炊けるわね。
「ちょっと先に焼いてて? お米セットしてくる」
「は~い。炊き忘れたの?」
「ええまあ……。お肉に夢中で……あはは」
「もう……そそっかしいんだから~。じゃあ適当に焼いておくね~」
 焼き肉の美味しそうな音と匂いを背中に、お米を研ぐ私……なんて惨めなんでしょう。早くセットしないと、もう空腹に耐えられないわ。
 お米を洗って、炊飯器にセット。早炊きでスイッチオン! これでよし!
「さあ、食べるぞ!」
 テーブルに滑り込むようにして座ると、じゅわ~っと焼ける煙に向かって箸を伸ばす。するとそこには、丁度よく焼けた牛肉が待っていた。牛さん……ありがたく、いただきます!
「あむっ」
 く~っ! 美味しい! タレに漬けこんだお肉のジューシーなこと! これは……ヤバい。塩と胡椒のも欲しいわね。
 大皿からお肉を何枚か、ホットプレートへ投入。ジュージューと焼ける牛肉さん……こっちはモーモーたまりません。
 まゆちゃんは鶏肉か~。
「鶏肉が好きなの?」
「うん、大好き! でも、豚さんも牛さんも好きだよ?」
「そうなの? でも、ここには羊さんも居るわよ? 食べてみる?」
「ラム肉か~……初めて食べるのよね。ねえねえ、どんな味かなぁ?」
「さあ~……私も初めてだから……。じゃあ、焼いてみるわね?」
 そうねえ……まずはタレに漬けておいたラム肉を、じゅわっと焼いてみる。確かモモ肉だったと思うけど、まあ、お肉はお肉よね。
 おっと、牛さんがもう準備万端ですよっと。案外忙しいわね。でも、この忙しさ、大好き。
 焼けた牛肉を~……そのままぱくり。
「やっぱり美味しいわね~、焼き肉は」
「ホントね!」
 あら、言葉に出しちゃってましたか。
「私……焼き肉って久しぶりだったから、凄く嬉しい! ありがとうお姉ちゃん!」
「いえいえ、私も久々だしね。でもまゆちゃん、夕ご飯とかって……三人で食べに行ったりするんでしょう? ウチのお母さん、料理とか全然できないし。焼き肉とか行かないの?」
「ううん……行かないの」
「え? それって……」
「えっと……あっ! 羊さんが焼けてる!」
 行かないのって……どういうことよ。まさかとは思うけど、連れてってもらってない……とか? それとも……。
「お姉ちゃん? このラム肉すっごく美味しいよ? お姉ちゃんも食べてみて?」
「え? あぁ……うん」
 取り敢えず、このことは頭の隅にでも措いといて。では、初めてのラム、いただきます。
「はむ……うん! 美味しいわね!」
「でしょう? どんどん焼こうよ!」
「ええ!」
 今度は豚さんを、じゅわ~っと焼く。まずは塩胡椒で、いただきます!
「あむっ……はふはふっ」
 うん! 脂が甘くて、とっても美味しいわね! 塩胡椒は豚肉とよく合ってて、牛肉に負けないぐらい味を引き立てている。うん、これは正解。でも、タレも正解。どっちも正解でお箸が止まりません!
 台所のテーブルでお肉がじゃんじゃんと焼け、換気扇はフル稼働。炊飯器のごはんも炊けて、焼き肉パーティーは最高潮に達した。
 豆腐ステーキもまゆちゃんに好評で、熱々に焼けたお豆腐を焼き肉のタレで幸せそうに頬張っていた。私はそんなまゆちゃんの美味しい笑顔に微笑みながら、食事を続ける。
 最後の締めのごはんは、ホットプレートに残ったお肉の脂で焼きメシにし、焼き肉のタレで味を付けた後、卵と混ぜて焼くというもの。こういうときにも、卵さんの恩恵は計り知れない。
「もう食べられないわね~……ごちそうさま!」と手を合わせる私。まゆちゃんも満足そうに手を合わせると、「ごちそうさま!」と私に微笑んだ。
 お肉もお野菜も……まだまだ余ってるわね。明日はひとり焼き肉を楽しみますか。締めはうどんにしても良さそうね~などと考えながら、後片付けを進める私とまゆちゃん。
 その後、焼き肉の余韻が残る体を寄せ合って、ソファーでゆっくりとしながらテレビを眺める。
 しかし……アレが気になってどうしようもない。行かないってどういうことなんだろう……聞いてみようか?
「ねえ……さっき言ってた、行かないってどういうこと?」
「うん? どういうって……行かないんだよ、食事に」
「食事に?」
 家で食べるってこと……?
「えっとねえ……、外に食べに行くときは、なるべく邪魔しないようにって思って、私は遠慮してるんだ~」
 ちょっと……何よそれ、どういうこと?
「遠慮って……なんでよ」
「だって……、食べに行こうっていう日は、おばさんはいつもオシャレしてくるし、お父さんもオシャレするし。高そうなお店に行くからさ……私は行かないことにしてるの」
「そんな……酷いよそれ!」
「……お姉ちゃん?」
「そんなのって……まゆちゃんが可哀相じゃない…! 遠慮することなんてないのよ? まゆちゃんが一緒に行けるようなお店に変えてもらえばいいのよ」
「でも……えっと、一応おばさんも誘ってくれるのよ? でも服とか持ってないし……。いつもホテルの高級レストランだから……」
「じゃあ……買ってもらえばいいじゃない、服を…」
「う~ん……そう思ったんだけど、そういうお店には行きたくないの。もっと気軽に……ファミレスとかさ、そういうので良いの。そういうとこ行って、みんなでご飯を食べたいよ……」
「まゆちゃん……。ねえ、どっちがレストランへ行こうって誘うの? お父さん? それとも……母さん?」
「大体はおばさんの方。でもたまにお父さんも誘うみたい」
「そっか……」
 まゆちゃんのお母さんが離婚した理由が分かったわ……。娘のこと何にも考えてないのね……可哀相に。
 それは……私も同じようなものかもしれない……。私の両親は、私が高校を卒業し、就職したと同時に……申し合せたかの様に離婚した。お父さんの話では、私が高卒だろうと大卒だろうと、就職したら離婚しようと……決めていたみたい……。どうしてそんな事をしたのか私には分からなかったけど……何となく察することができたので、理由は特に聞きもしなかった……。
「お姉ちゃん、私……お母さんのところに行けばよかった」
「え?」
「でも……学校を辞めなきゃならなくなるし、それは駄目だってお母さんに言われて……。お姉ちゃん……もう私……」
「まゆちゃん……」
「焼き肉……すごく楽しかった。お姉ちゃんとご飯食べるの凄く楽しい。でも、お父さんとおばさんと食べると……つまんない」
「母さんは……構ってくれないの?」
 まゆちゃんは私に何かを言おうとしたけど、遠慮したのか何も言わずに首を振った。母さんまで……。まあ、薄々は分かってたけど。私もあまり構ってもらわなかったからなぁ……。
 でもこの子……明日には帰らないといけないのよね。引き留めたいけど学校のこともあるし、無理か……。
「ねえまゆちゃん、暇なときはいつでも遊びにいらっしゃい? 交通費だったら出してあげられるし。三連休とか……そうねえ、ゴールデンウィークでもいいわね。ウチにまた泊まりにおいで?」
「お姉ちゃん……いいの?」
「ええ。また一緒にご飯を食べましょう?」
「うん! やったー! お姉ちゃん大好き!」
「あっははっ。もう……まゆちゃんったら」
 この子の笑顔が、私にとって一番のごちそうなのかもしれないわね……。






 次回「美沙子のメシ」は、「カニカマ玉子丼」です。お楽しみに。

 美沙子のメシ

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