名劇SSブログ

世界名作劇場の二次創作SS(ショートストーリー)ブログです。※画像等の二次利用・無断転載はお断りしております。現在は「けものフレンズ」が中心となってしまいました。名劇関連は休憩中です(小説に出来そうなネタが無いです……スイマセン……)

美沙子のメシ:9





載せ忘れたものを……と申しましょうか、上げ忘れですね……アップしてなかったので一気に上げていきます。ご了承下さい。






  九杯目 カニカマ玉子丼


 その日私は名鉄に揺られ、金山駅へと向かっていた。おもちゃのバズーカ金山支店へネット通販で扱う品物を取りに来たのだ。また高級腕時計じゃないでしょうねえ……という不安もあったけど、まあ仕方ない。これも私の仕事と諦めて、その店へと向かう。
 駅を出て数分のところにその支店はあった。店に入り、店長を呼ぶと店の奥へと通される。なんだか嫌な予感……。
「こちらがその品物になります」と出てきたのは、私の背丈はあろうかというエアーガンだった。マジか……。
「ちょっと持っていくのは大変そうですけど、大丈夫ですか?」
「え……ええ、まあ……。それで……これは……」
「ええ。これは東京カクイからリリースされていたガスのスナイパーライフルで、絶版品ですね。店頭ではもう売れないし、通販に出そうかと思って」
「はあ……そうだったんですか」
 スナイパーライフルって……何を撃つんだか。
「ウチってほら、カードとテレビゲームが中心でしょう? 一応こういうのも買い取りはするけど、客層が客層だからねえ……売れないんですよ」
「そうですよねえ……。それじゃあこちらで引き取らせて頂きますので、買い取った金額を」
「あぁえっと、これです」
 店長が示した金額は、なんと八万円。ちょっと待ってよ……これそんなにするの⁉ 参ったわね……また高額商品ですか。でもこれ、持っていくのはいいけど、電車に持ち込めるのかしら?
「あの……すいません、これって電車に持ち込んで良いものなんですか?」
「ええ大丈夫ですよ。ガンケースに入ってるでしょう? だから大丈夫です」
「はあ……じゃあ」
 何が大丈夫なのかさっぱり分からないけど、その荷物を引き取り電車で会社に戻る。当然のごとく周りの人達は私をジロジロと見るわけで……。そりゃあそうよね、スーツでこんな濃い緑色の迷彩柄の、縦に長いバッグを背負っていれば見られるわよね……。今度からちゃんと、引き取りに行く商品を確かめてから行きましょう。しかし……重すぎるでしょこれ……。いったい何キロあんのよ。まあでも、いい運動になるわね。これも美味しいご飯のためだと思えば、楽勝よ……。
 メールで取りに来てくれって頼むのは構わないけど、ちゃんと商品を書いてほしいもんだわね。
 会社に戻り、周囲の人々の視線から解放されても、まだ私の仕事は終わらない。別室で商品の写真を撮る……んだけど、これ、どうやって撮ったらいいんだろ……。何か参考にできるものはないかな……。
「う~ん……」と唸りながら、エアーガンを取り扱っているウェブサイトを漁る。どの写真も凝ってるけども、ここまでの写真はできないな……どうしよ。
「先輩? 何を悩んでるんですか?」
「あぁ河合さん。えっとね、エアーガンの写真をどうしようか悩んでて……」
「エアーガン?」
「ええ。通販で扱うからって預かってきたの」
「へえ~。ちょっと見せてもらえませんか?」
「ええ……いいけど」
 河合さんを、そのエアーガンが置いてある部屋へと案内した。すると、「うわぁ~」と驚き、目を丸くした。そりゃあそうよね……こんなもん見せられたら誰だって……。
「凄い! これってもう生産停止になってるライフルじゃないですか!」
「はい?」
「東京カクイのスナイパーで、アメリカ海兵隊で使用されている本物の五十口径ライフルを型取りして製作された、本格的スナイパーライフル! 重量も本物とほぼ同じの十二キロで、マニアには堪らない逸品なのよね!」
「へえ……」
 知らなかった……河合さんがここまで詳しいなんて……。しかし十二キロもあったのか……そりゃあ重いわけよ。
「じゃあえっと、写真どうしよっか」
「そうですねえ……ウチじゃあこういうものはカッコよく撮れないし、商品の大きさがすぐに分かるような写真にしてみてはどうでしょう?」
「なるほど。じゃあ河合さん、これのすぐ横に立って……ライフルを、そうね、立てて撮りましょうか」
「ええいいですよ? 可愛く撮って下さいね」
「はいよ」
 商品を傷つけないように下に厚紙を敷いて……っと。
「それじゃあ撮るよ~」
「は~い」
 よし……綺麗に撮れた。しかしこうして見ると、ホントに大きいわね……。河合さんの背丈よりも少し長い。いったいこれで何を撃つんだ……。
「じゃあ河合さん、あとは私がやっておくから、戻っていいわよ?」
「は~い」
 そのライフルを軽々と操り、ガンケースの中へと収納する河合さん。凄くビックリなんですけど……。
 商品の画像と、説明文をサイトにアップして……っと。よし、終わった。えっと、あとは簡単な入力仕事をやって……今日の業務は終わりね。さて、今日の夕ご飯は何にしようかな……。そういえば冷蔵庫にカニカマがあったわね。それから卵と……ネギ、ぐらいかな……思い出せるのは。じゃあカニカマで玉子丼でもしましょう。名付けてカニカマ玉子丼。今夜のご飯は決まった。あとは帰りの時間が来るのを待つだけ……。そう思うと猛烈にお腹が減ってきたわね~……早く終わらないかしら。この数分がもどかしい。
 いかんいかん、作業に集中しないと。こういうときに限って細かいところをミスるのよね。繋ぎで何か腹に入れますか。確か引き出しの中に……あった、カントリーマミー。ソフトクッキーなんだけど、結構お腹に溜まるのよね。これを三枚……って、あっちゃ~……あと二枚しかない。帰りに買って補充しないと。
 と、考えている内に終業時間がやってきた。そのクッキーを口にひょいと入れ、タイムカードを押して会社を出る。河合さんと一緒に地下鉄に乗り、市バスのバス停で別れて、私はバスに揺られながら帰路へとついた。


 バス停で降り、コンビニでカントリーマミーを購入すると少し速足で家へと向かう。
 もうお腹は限界なのだ。クッキーを入れたことによって胃袋が刺激され、余計に食べ物を要求してくる。これはヤバい……空腹の限界だ……。
 玄関に飛び込み、冷蔵庫を確認。
「あった。カニカマと卵」
 スーツから私服に手早く着替え、お風呂の準備も済ませると、夕食の準備に取り掛かる。
 今日は手早くいこう。まずは炊飯器にご飯だ。手早くお米を研いで、炊飯器にセット。炊ける時間を利用してシャワーを浴び、それが終わったら台所に駆け込んでコンロに火を入れる。
 カニカマは油で……いや、バターがいい。直感を信じてバターを入れ、程よく溶けたところにカニカマを投入。表面に焼き色が付いたところで、溶き卵を投入。麺つゆで味を付ける。タイミングよく炊飯器が炊き上がりを知らせたので、出来立てほかほかのごはんを丼ぶりによそい、フライパンの中身をそこに乗せる。
「できたわ……カニカマ玉子丼」
 では早速、いただきます!
 台所のテーブルで、どんぶりをかき込む私。あ~……ひとり暮らしでよかったと思う瞬間ね。カニカマと卵って合うのよね~。卵の甘さと、カニカマの味、そして麺つゆ。それらとバターが丁度よく混ざって、至福のどんぶりに仕上げているわね。
「これ……おかわりいけるわね」
 いや……ちょっと待てよ、空腹が限界のときってあっという間にお腹が膨れるのよね……。そんなことを考えつつ、もうどんぶりは空に。しかし……この満足感、やっぱりおかわりは無理ね。それにしてもビックリするぐらい美味しかったわね~。あっという間に完食してしまったけど、カニカマってバターと合うんだ……知らなかった。咄嗟に思い付いたことだけど、私って料理上手なのかもしれない。
「そういえば誰かが言ってたわね、食べることが好きな人は料理も上手だって……」
 はて、誰の言葉だったか、何かで読んだ記事なのか分からないけど、そんなことを考えつつ後片付けを済ませ、自室に戻る。
 明かりをつけて、ラジオを流しながら……机に向かってイラストを描く準備をする。
「……っと、その前にピクぞうでも覗きますか」
 パソコンを立ち上げてピクぞうにアクセスすると、通知が十個以上来ていた。あらら……何故に? と首を傾げる私。いつもはひとつかふたつ付いていいとこなのに……。
 その通知を開くと、フォローされましたという通知のほかにコメントが多数入っていた。
「うわ……こういうことってあるんだ」
 私は嬉しくなり、そのコメントが付いたイラストを確認する。コメントのほかにも、スタンプが多数ついていた。
「スタンプも嬉しいわねぇ~。でも、スタンプってどうして通知されないのかしら……」
 コメントを返信し、スタンプにもスタンプで返信した。そして、フリーメールのメールボックスを開き、ピクぞうからの通知を確認していくと、普通のメールもそこに入っていた。
「そういえばプロフィールに書いたっけ、アドレス」
 そのメールを開くと、見慣れた名前がそこにあった。そう、まゆちゃんだ。
「あらら……見てくれてたんだ」と呟き、そのメールを読んでいくと、ゴールデンウィークに泊まりに来ることと、自分をモデルに絵を描いてほしいとのことだった。
「モデルって……いいのかな……」
 まゆちゃんに電話しようかと思ったけど、もう二十時を回っていたので迷惑だと思い、そのメールに返信をしておいた。
「ゴールデンウィーク、楽しみに待っています。それと、絵のモデルということだけど、描くのが私で大丈夫なのかしら?」……で、送信っと。人物画か~……描いたことないけど、いいのかな……。でもなんで?
 その疑問を頭の隅に置いて、私はイラストを描き始めた。






 次回「美沙子のメシ」は、「風邪引きの午後 松茸の雑炊を添えて」です。お楽しみに。

 美沙子のメシ

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