名劇SSブログ

世界名作劇場の二次創作SS(ショートストーリー)ブログです。※画像等の二次利用・無断転載はお断りしております。現在は「けものフレンズ」が中心となってしまいました。名劇関連は休憩中です(小説に出来そうなネタが無いです……スイマセン……)

美沙子のメシ:11





今回は二本連続で載せます。今週でもうこの小説は終わります。ちょっと寂しいですけども……。

それではどうぞ。






  十一杯目 黄金週間の黄金炒飯


 待ちに待ったゴールデンウィーク。予定通りにまゆちゃんがウチに遊びに来てくれた。ウチでのんびりと過ごし、ゆっくりとくつろぎながらイラストを描いていく。
 まゆちゃんは初めてモデルをやるということで……多少の緊張はあったみたい。けど、「どうぶつフレンズ」の音楽アルバムを流しながら作業していたので「この曲可愛い!」とか、「この声の子可愛い!」とか、終始お互いに楽しく作業をしていた。
「ねえお姉ちゃん、このアニメのDVDとか持ってる?」
「うん? ブルーレイがあるけど」
「観たい! ねえ、終わったら観ようよ、どうぶつフレンズ」
「ええいいわよ? じゃあ、今から観ようか?」
「いいの?」
「ええ。下描きはもう済んでるし、モデルはもう大丈夫よ?」
「ホント? すご~い! 見せて見せて?」
「いいけど……まだ下描きよ?」
「いいから見せてよ~」
「はいはい」と、その下描きの絵をまゆちゃんに見せてあげる。
 するとまゆちゃんは「わ~あ!」と嬉しそうな表情をすると、「やっぱり上手ねお姉ちゃん!」と、私の背中に抱きついてきた。
「あははっ。そんなに喜んでくれると……こっちとしても嬉しいわね。じゃあ、居間に行こうか」
「うん!」
 居間にあるテレビに、ブルーレイのプレイヤーが繋いである。そこに「どうぶつフレンズ」のブルーレイをセットして、再生っと。
 オープニングが流れ、まゆちゃんが「これってさっきの?」と、目を輝かせながらその画面に見入っていた。
「これ観るの初めて?」
「うん。観たことない」
「そうなんだ……。アニメとか観ないの?」
「うん……あんまり。お父さんがテレビとか見せてくれないから……」
「そうなの?」
 厳しいのかしら……ウェ~イとかやってるくせに?
「うん……。演歌の番組とか、時代劇とかばっか観てて……私にはちっとも」
「へ~……意外。お父さんの趣味って案外渋いのねえ」
「ううん……お客さんと話しを合わせるためだって言ってた」
「ああ……そういうことね」
 まゆちゃんの父親は着物を売っているお店の代表をしていて、その店が奇しくも、ウチの近くにあるアポタに入っている。
「なるほどねえ……。じゃあさ、思う存分観たいもの観ていいよ?」
「ホント⁉」
「ええ。大抵のはあるから……」って、自分で言っててちょっと呆れる。最近のはあまりないけど、好きなアニメーターが携わってきたアニメとか、色々と買うようにしている。
「ねえお姉ちゃん、ほかには何があるの?」
「えっとねえ……」と、「どうぶつフレンズ」のブルーレイディスクが入ったラックをまゆちゃんに見せる。そこには名作アニメのDVDや、劇場用アニメのブルーレイも入っていた。
 まゆちゃんはその劇場用アニメのディスクを手に取ると、「これ、友達と観に行ったやつだ!」と笑顔を見せた。
「そうなの?」
 それは昨年公開された劇場用アニメで、「この世界の真ん中に」というタイトル。戦国時代を舞台に、町娘と武士が共に暮らしながら戦国の世を生き抜くという物語。
「へ~え。まゆちゃんこういうのも観るんだねえ~」
「うん。友達がね~、こういう時代劇みたいなの好きでね。私もアニメとかあまり観たことがないから、一緒について行ったの」
「そうなんだ」と話しつつ、まゆちゃんはテレビ画面に釘付けになっていた。その瞳はらんらんと輝き、キャラの一挙一動をつぶさに観察していた。主人公のキャラクターである「アイちゃん」と、もう一人の主人公である「マナミちゃん」の一喜一憂に表情をころころと変え、物語に没頭する。こんな表情も見せるんだ……と、思わずその表情に見入ってしまった。
 あっという間にエンディングを迎え、まゆちゃんは「面白かった~!」と笑顔を見せると、「最初から観たいな~」と、私に視線を向ける。
 よし、今日は「どうフレ祭り」だ!
 お菓子とジュースを用意し、第一話から順番に流していく。主人公二人の出会いや旅立ち、色んな出来事や困難に立ち向かっていく姿を見て、一喜一憂する私達。
 いつの間にかさっき観た回まで進み、その回も余すことなく観終えると辺りはもう真っ暗になっていた。
 私は、「あちゃ~……お昼食べ損ねたわね」と、腕時計を見ながらそう呟く。
「そうねえ。でもお菓子とか食べてたから、あんまりお腹空いてないわね」
「そうだけどさ……」
 やっぱり、お腹が求めるのよね……白いごはんを。
 でも……炊いてないわよねえ……どうしよ。
「ごはん残ってたかな……」
 台所に行って、炊飯器の中を確かめてみる。すると、二人分には少し足らないぐらいのごはんが残っていた。
 う~ん……どうしたもんかな。冷蔵庫の中はっと……。え~と……卵とネギ……か。それから、棚に鶏がらスープの素……。
「ねえまゆちゃん、お夕飯だけど……簡単なものでもいい?」
「うんいいよ~?」
 よし、じゃあアレをやりますか……黄金炒飯。これが簡単でいいのよね。まずはネギを刻んで、これをゴマ油で炒めるっと……。ちょっと焦げるぐらいに炒めたところで、鍋に水を入れて、そこに鶏がらスープの素とさっき炒めたネギを入れて、簡単なスープを作ります。
 それから、フライパンに残ったゴマ油を利用しつつ……サラダ油を足して、ごはんを炒める。ごま油にネギの香りが移ってるから、これがまた食欲をそそるのよね~。
 炒めるとき中華屋さんだと先に卵なんだけど、あれは火力があるからね。ウチにそんな火力はないので、先にごはんを炒める。
 充分に炒めたら、塩と胡椒で味付け。胡椒を多めに振って……フライパンを振ってごはんを返したら、溶き卵を投入。全体がよく混ざるように炒めて、これでもかと言わんばかりに木べらで切り混ぜていく。もちろん、フライパンを煽りながらね。で、充分に混ざると、金色のごはんが出来上がる。ここに仕上げで、しょうゆをちょいと入れてっと……。
「出来たわよ~!」とまゆちゃんを呼んで、これで完成! 私特製、黄金炒飯スープ付きセット。
「さあ、食べてみて?」
「すっごい美味しそう! いただきまーす!」
 私も手を合わせて、いただきます。
 スプーンで炒飯をすくって……ぱくり。
「う~ん! おいし~い!」と二人の声が重なり、互いに微笑む。やっぱり美味しい食事というのは自然と笑顔になるわね。
 しかし今回のは格別に美味しく出来たわね。やっぱり醤油の量がポイントなのかしら。香りと色がほんのり付くぐらいで……あとは胡椒よね。胡椒と醤油、そして卵。全てがひとつに纏まって、物足りないぐらいだった量のごはんを満足のいくものしてるわ。そこにこのスープ。簡単な割には凄く美味しく出来るのよね。こうなってくると……餃子とラーメンが欲しくなるわねえ。それはまた今度、ちゃんと材料を揃えてからのお楽しみということで……。
「ごちそうさま!」と、また二人の声が重なり、互いに美味しい笑顔を向けあう。
 後片付けを済ませ、食後のコーヒーを楽しむ。まゆちゃんがラックの中から、「今度はこれが観たい!」と取り出したアニメを一緒に観る。
 劇場用アニメの「この世界の真ん中に」のブルーレイをセットし、再生。私はそれを観ながら、まゆちゃんをモデルにした下描きの隣に……自信のない自画像を下描きた。そしてそれを、色付けするための線画へと仕上げていく。
 ソファーの座るところを背もたれにして、床に座ってそれを描いてると、まゆちゃんが隣にちょこんと座った。
「へ~え……自画像も上手だね~」
「いや~……アニメ調にデフォルメしてるから、なんとも言えないけど。褒めてくれて嬉しいわ?」
「えへへ」
「でもさ……どうしてまゆちゃんと私のツーショットのイラストを? 写真でも良かったんじゃない?」
「う~ん……写真だとなんかねえ、味気ないと思って。お姉ちゃんが描いてくれたイラストなら……寂しくないかなって思ってさ」
「え……? それって……どういうこと?」
「うん……えっと、寮に入ることが決まったの。来年から」
「そうなんだ~。おめでとう……って言うところなのかな?」
「えへへ……ありがとうお姉ちゃん」
「そっか、高校から寮で一人暮らしなんだね」
「うん……ちょっと厳しいかもだけど……ね?」
「厳しいの? ああでもそっか……学校の寮だもんね、そりゃあ厳しいか」
「うん」
「でもそっか……お父さん、許してくれたんだね」
「うん、まあね……」
 まゆちゃんはどこか寂し気に微笑むと、テレビの画面に視線を移した。私はその横顔に少しの不安を抱きながら、再び線画の作業へと戻った。






次回「美沙子のメシ」は、「見送りのおむすび弁当」です。お楽しみに。

 美沙子のメシ

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