名劇SSブログ

世界名作劇場の二次創作SS(ショートストーリー)ブログです。

月刊Stella 5周年記念企画 参加作品:ねこねこ森の物語・後編






20120907215857248_201604291510463fa.jpg
月刊Stella 5周年記念企画、参加作品

ねこねこ森の物語・後編です

それではどうぞ :)






- ねこねこ森の物語・後編 -



いよいよ祭りの日がやってきました、村の人たちが大勢広場に集まっています、その一方、マナミとユウタは修理したボートのところで待っていました、アイがお弁当を持ってモグラじいさんの手を引っ張って歩いてきます、少し遅れてマイトもやってきました、モグラじいさんはユウタをボートに乗せ、子供たちもボートに乗り込むといよいよ出発です

「それじゃあ皆の衆、しっかり掴まっておれよ?」

オールで漕ぎ出すと、ボートはスイスイと走り出しました、川の流れは緩く、起伏もないため穏やかにボートは進んでいきました

「案外と楽な冒険かもしれんな…退屈じゃろ?」というモグラじいさんの問いかけに対して子供たちは笑顔を弾けさせます、今まで見たこともない景色が広がっていたのです、ぽっかりと口を開ける森の入り口、鳥が歌い、動物たちがボートを珍しそうに見学します

ボートが進むにつれてだんだんと薄暗くなり、あの魔物が住む地域へと差し掛かっていました

「なんだか怖いわね…お兄ちゃん?」

「大丈夫だよマナミ、僕の手を握っててごらん?」

「うん…」

アイもお爺さんに寄り添い、マイトは周りを見渡していました

「安心せい、ドクギリンは水には入ってこれんで、水の中にも魔物はおるが…こいつらは滅多に人を襲わんでの…、それに、一応じゃがお守りを持ってきた、これを持っていなさい」

モグラじいさんは皆にお守りを持たせました

「…交通安全…っておじいちゃん?」

アイの言葉に皆が目を丸くします

「無いよりマシじゃろうが」

順調に進んでいくボート、ガサガサという音に身を強張らせながら川を溯っていきます、やがて周囲が少し明るくなっていきました、木々の緑も綺麗な若草色に染まり、澄み渡った空気がそれを引き立てていました

「涼しい風ねぇ…いい気持だわ♪」アイが瞳を閉じてその風に頬を委ねます、マナミは川の水を手ですくうと、ユウタの手に触れさせてあげました

「ほら、冷たくていい気持ちでしょう?お兄ちゃん」

「うん、さっきまでとは全然違うね、空気も凄く澄んでる…」

「そうねぇ…そうだわ?どこかでお弁当にしましょうよ、ねえモグラじいさん、この辺に魔物は出るの?」

「そうじゃな…雰囲気がだいぶ違うの、動物たちも伸び伸びしておる、もう魔物は出んじゃろうな、どれ…ボートを止めるかの」

「やったー!」という声が重なります、お弁当の用意をする女の子二人、マイトはユウタにエプロンをしてあげました

「ねえモグラじいさん、早くボートを岸に着けてよ、マットを持ってきたんだ、『大冒険!ネコザッシュ』のやつ!、カッコイイんだぜ?」

マイトがそのマットが入ったバッグを持ち上げて自慢します、しかし、モグラじいさんは首を横に振りました

「いいや、お弁当はここで食べるんじゃ、食べ物のにおいに動物たちが寄ってくるかもしれんでの」

「素敵じゃない!」マナミが瞳を輝かせて喜びます、「動物たちと一緒にお弁当だなんて絵本みたいね♪、早く岸に行きましょうよ!」

そんなマナミをなだめる様に、モグラじいさんは話します

「ならん、この森にはどんな動物がおるのか分からん、もしかしたら危険なやつもおるかもしれん、せっかくの夢を壊すようで申し訳ないがの、お弁当はボートの上で食べるんじゃ」

しゅんとする子供たち、そんな中、ユウタはみんなに「僕はみんなとお弁当を食べれるだけで満足だよ、さあ、食べようよ…僕もうおなかペコペコだよ」

その言葉に表情を明るくする子供たち、モグラじいさんも笑顔で頷くと、楽しいお弁当の時間がやってきました

「はい♪お兄ちゃん、あ~んしてっ?」

「普通に食べさせてよ…」

「ワガママ言わないのっ、素直にあ~んしなさい」「次は私の番よ?マナミ」

「ちぇっ、モテモテだなユウのやつ、あ~んして?マイトくん、はいっあ~ん…って、そんな女の子は居ないもんかなぁ」

「はっはっはっはっ!わしがしてやろうかの?」

「じいさんは女の子じゃないでしょ!」

クスクスと笑うマナミとアイ、アイはマナミを肘でつつくと「してあげれば?」と内緒話し、マナミも「仕方ないか」とマイトにウィンナーを食べさせてあげました

楽しいお弁当も終わり、再びボートを走らせるモグラじいさん、「そろそろ伝承の場所に着いてもいい頃じゃがな…」周囲を見渡すと、動物も鳥たちも居ないことに気付きました

森の木々で覆われているその場所は、太陽の明かりが遮られているにも関わらず、不思議と明るかったのです、しんと静まり返ったその場所は湖と言って良いほどに広く、どこまでも透き通った水を湛えていました

「すごい…あんなに深いところまで見える…」マイトはその光景に驚きます

「うむ…間違いない…、よし、岸に上がるぞい、必要なものを持って上がる準備をしなさい」

モグラじいさんが皆に指示を出します、ボートを岸に着け、ロープでしっかりと固定すると岸に上がりました、モグラじいさんはユウタを背中に縛ると、「よいしょ」と歩き出します

「すいません…」

「なぁに…気にするでない、子供が遠慮なんぞせんでもよいわ」

湖の周りを慎重に歩くと、ある草が光っているのが見えました、その草をじっくりと観察するモグラじいさん、子供たちも興味深々でその草を眺めます

「これは…もしかしたらヒカリグサかもしれん」

「ヒカリグサ?」と子供たちが首をかしげます、「あぁ…そうじゃ、間違いない、これはヒカリグサじゃ」

モグラじいさんはヒカリグサの伝承について子供たちに話しました、そのヒカリグサはかつて、ねこねこ森にたくさん生えていたそうです、しかし、周囲の環境が変わるにつれてその数を減らし、今では見ることができなくなってしまいました、ヒカリグサは川沿いに多く生えており、夜には川の周囲が絨毯のように輝いていました、むかしの人々はその光景を神様の大名行列といって、夜の時間を楽しんでいたそうです

「…と、まあそんなとこじゃ、もしかしたら神様のパレードというのは、このヒカリグサが先祖たちに見せた光景かもしれんの…」

「なんだ…草か…」と肩を落とすマイト、しかしアイは明るい声でみんなに話しました

「もしそれがねこ神様のパレードなら…探そうよ、ヒカリグサを、ねえおじいちゃん?、むかしは沢山生えてたんだよね?だったら今でもたくさん生えてるのかもしれないわ?、探しましょうよ、きっと見つかるわ!」

「そうね!わたしもアイに賛成よ!、探しましょう!」

「僕も賛成だ!探そう!ヒカリグサを!」

「やれやれ…若いもんには負けておれんの、じゃがな皆の衆、決して無理はするなよ?、みんなで一緒に行動するんじゃ、これは冒険の鉄則じゃ、そいじゃあ冒険に行くかの」

「おーっ!!」と声が重なります

湖の周囲を慎重に歩く冒険者たち、目を凝らして必死にヒカリグサを探しました

「し…っかし…どうなってんだよここ…、木の葉っぱがまるで天井みた…うわあっ!」

マイトが木々の屋根に気を取られ、足元から目を離した瞬間、ぽっかりと空いた穴に落ちてしまいました、「どうしたんじゃ!大丈夫か!」モグラじいさんがマイトを心配して駆けつけます、幸いにもその穴は浅く、かすり傷程度で事なきを得ました

「全く…心配させおって、待っとれよ、いま引き上げてやるからな」

モグラじいさんは背負っていたユウタをマナミとアイに預けると、マイトを助けにその穴へと滑り降りました

「足は?挫いておらんじゃろうな?」

「うん…大丈夫だよ、ごめんよ?じいさん、それより…あれ…」

マイトが指を差したその向こうに洞窟が広がっていました、その奥、暗闇の向こうにまばゆい光が溢れていました

「出口…ではなさそうじゃな…、もしや…!」モグラじいさんはマイトをその場で待たせると、奥へと向かっていきました

少しして、モグラじいさんが戻ってきました

「マイト、ユウタをここへ連れてきなさい、……あの光はわしには強すぎる…」

首をかしげながらユウタをその穴に降ろすと、モグラじいさんは光のある場所を差しました、そこへと歩み寄る子供たち

そこには光が溢れ、まるで洞窟が太陽の中にあるようでした、その光に包まれ目を細める子供たち、ユウタにその光が届いたのか「神様だ…ねこ神様が来たんだ…」と呟きました



夕焼けの中、ボートが川を走っていました、皆はただ黙ってボートに乗り、流れる景色に身を委ねています、モグラじいさんはボートを岸に着けると皆を祭りに連れていってあげました

子供たちは露店でお菓子を買い、迷子になってしまった子が泣き、恋人たちは笑顔で歩く、村人たちは幻想のような時間を精一杯楽しもうとします

モグラじいさんに背負われていたユウタは、マナミと丘に行きたいと言いました、マナミを連れてその丘に向かうモグラじいさん、二人で話したいというユウタの言葉を聞き入れ草の上に座らせると、ひとり祭りの中に戻っていきます

「…すごい…お祭りの景色が全部見えるね」

その丘の下で、お祭りを楽しむ人々が行き交っていました

「マナミ…今日はありがとう、手を…」

小さく頷くと、手を差し伸べました

「………駄目じゃないか、女の子がこんな手をしてちゃ…」

マナミの手を優しく握るユウタ、ボートを一生懸命に直したマナミの手はボロボロになっていました

「お兄ちゃん…でも仕方ないじゃない、ボートを一生懸命に直したのよ?」

「そうだね…、優しくて…一生懸命な暖かい手だ…、マナミ…ありがとう…、僕は神様に会えたんだ、マナミの…みんなのおかげで、マナミ…僕の願い、叶うかな…」

「叶うよきっと、ねえ?お兄ちゃんの願いってどんなの?」

「僕のねが…い…、それ……」

「…お兄ちゃん?」

「…マ…ナ……、ごっ…げほっげほっ…!!」

「お兄ちゃん!どうしたのお兄ちゃん!いやあっ!しっかりして!」

「げほっ…げほっ!……マ…ナミ…」

「いやぁ…お兄ちゃん…血が…」

倒れ伏せるユウタを抱きしめるマナミ、近くの木に寄りかからせると血を拭いてあげました

「…マナミ……」

「ぐすっ…お兄ちゃん…!、いまモグラじいさん呼んでくるから!お医者さんに見せなきゃ!」

「…ま…って…行かないで…」

手を掴んでマナミを引き留めるユウタ、マナミは心配そうな表情をしながらも膝枕をしてあげます、ハンカチで血を拭くと、優しく頭を撫でてあげました

マナミの頬にユウタの手が添えられます、お日様のような暖かい兄の手、その温もりに心を預けると、マナミはユウタの言葉に耳を傾けます

「どうしたの?…お兄ちゃん…」

「………っ…」

「お兄ちゃん…なあに?何か言いたいの?…お兄ちゃん……」


頬から崩れ落ちる兄の手の平、声にならない言葉を妹に託し、彼は旅立ちました



お兄ちゃんは次の日、煙になってお空へと飛んでいきました、お医者さんの話しでは魔物の種を燃やすためだそうです、私はアイちゃんに付き添われて、あの丘へと向かいました、その夜は不思議と星が見えませんでした、曇っているわけじゃないのに…、たぶんお星さまもお兄ちゃんのこと悲しんでるのかな…

アイちゃんと寄り添って、お兄ちゃんのことを話しました、学校のこと、遠足のこと、夏休みに海へ行ったこと、たくさん…たくさん話しました、二人で思い出を話していると、アイちゃんが「マナミ!あれ見て!」と…空を差しました

私はその光景に目を奪われました

「……ねこ神様の…パレード…」

遠く…夜空の星に向かって走るパレード、ねこ神様のパレード、いつの間にか満天の星空が広がり、パレードがそこに向かって走っていきます

そのとき、私のところにひとつの光が落ちてきました、私の周りをくるくると踊ると、パレードに戻っていきます

それが何だったのか…すぐに分かりました、私は笑顔でその光に手を振ると、そのパレードをいつまでも眺めていました




おわり







あとがき

はい、如何でしたでしょうか?、初参加なので大丈夫かいな?と少し縮こまってましたが、趣味全開で書きました、キャラクターには詳しい設定を設けていません、なのでどんな子達が活躍しているのかは皆さんのご想像にお任せ致します、人其れを丸投げと言う…

この企画に参加できたことを心から嬉しく思います、ここまで読んで下さりありがとうございました!

それではこれにて、失礼致します :)

 一次創作置き場

0 Comments

Leave a comment